雄一郎の仕事のせいで長期休暇が取れず新婚旅行には行ってない。年が明けた今回が初めての二人っきりでの旅行だ。

雄一郎はスポーツも万能で特にスキーが上手かった。

そんな訳でこの長野に来たのだが何分急に休むが取れたので、一流ホテルの類は全て満杯、ようやく見つけたペンション・セカンドに宿泊する事になったのである。

人を引き付ける明るい太陽のような存在の雄一郎に比べて江里子は地味な女だった。

雄一郎と結婚して少しは服のセンス等垢抜けてきたかもしるないが、昔は職場の制服でほとんど過ごしたぐらいである。

街で雄一郎の旧友に出会ったりすると決まって相手は最初、江里子の存在に気が付かない。

幸せの絶頂にいる半面、江里子は24時間誰かに監視されているような息苦しさと心苦しさで身の休まる時が無かった。