しかしバブルが弾け彼らは泰明の元を去った。

中にはこの世から去ってしまった者もいたが、そんな事は泰明にとってどうでもいい。

問題なのは債権だ。

だんだんと地価が下がりだし泰明も注意していたのだが1番大きな取引をしていた暴力団が裏で操る商社があっけなく倒産したのだ。

貸し付けた金額は5億円。

代わりに差し押さえてあった担保はどう見積もっても数千万の価値しかなかった。

今の所、事実は明るみに出ず正規の貸付残高として残っている。しかし来月の監査で焦げ付きが明るみに出るのは間違いなかった。

今まで踏み台にしてきた大卒達が高笑いを浮かべながら泰明を見つめる姿が何度も夢に出る。

(畜生…こんな事で、こんな事で挫折してたまるか)

多恵の父親だと5億円ぐらい出せない金額ではないだろう。

ここは何とかして融通付けてもらうしか生き残る術は無い。