最後に大きな波が来て全身でこらえる。

次の瞬間、ズルッと妙な感覚がして目の前が光に包まれたような感覚に落ちた。

『…!』

『これは…』

医師や看護士が口々に驚きと戸惑いの声を漏らす。

『せ、先生…赤ちゃんは?』

『…赤ちゃんは元気ですよ。可愛いらしい男の子です…』

確かに激しい泣き声が聞こえる。しかし隣に立っている雄一郎までもが目を見開いて硬直していた。

『先生…先生?』

『奥さん…赤ちゃんを…赤ちゃんを見てあげて下さい』

そう言って医師は小さな赤ん坊を江里子の顔の横にそっと置いた。

『えっ!?』

思わず江里子も息を呑む。

丸々と太り目鼻立ちのはっきりした可愛い赤ちゃんだった。