『奥さん!頑張って!旦那さんもついてるわよ』

『ぐうぅぅぅ』

腰に鉄の棒がねじ込まれるような激痛に江里子は歯を食いしばった。

必死で雄一郎の手を握りしめる。雄一郎も江里子と同じ呼吸法をしていた。

『もう少しだ江里子さん!頑張れ!』

額に玉の汗をかきながら江里子は押し寄せる激痛と戦った。

下半身がまるで千切れるようだ。腰ごと重機で持って行かれそうな激痛を越えた激痛。

江里子は無我夢中で看護士に教えられた呼吸法を試みた。

『ほら!頭が見えてきた!髪の毛がフサフサだよ奥さん!頑張って!』

『ふぅんんん!!』

ベッドの手すりを握りしめる。夫の雄一郎も同じように苦しい顔をしていた。