どんな理由で紗英は死ななければならないのだ。

事故?病気?色々な想いが交錯して整理がつかない。

樹の言葉が真実だとすれば紗英は何らかの事故に巻き込まれたのかもしれない。

着替えを済ませた康太は携帯で未音に連絡を取った。

寝ているだろうから直ぐには出ないだろう。呼び出し音が聞こえるよう繋げたままの状態で携帯を胸ポケットに入れる。

時計を見ると深夜4時少し前、夜の街は誰一人存在せず、康太は信号を無視してマウンテンバイクを走らせた。

途中留守電に切り替わってしまったので何度かかけ直すが未音はいっこうに出ない。

『何やってるんだよ…早く起きろよ』

しかしマンション前まで到着しても結局呼び出し音が途切れる事は無かった。