信じたくは無かったが樹の様子は嘘をついているようには思えなかった。

あの美しい紗英が…

紗英が本当はそれほどスキーに興味を持っていない事に康太は薄々気付いていた。

ただ仲の良い自分達に付き合ってくれていたのだ。

でも一度たりとも紗英は文句を言った事が無い。何時も笑顔で接してくれた。

美人で優しい紗英は他のクラブからの勧誘も激しかったが掛け持ちはしなかった。

紗英ならもっと楽しめるクラブが沢山あったかもしれないのに友情を重視したのだ。

急いで服を着替える康太の目から涙がこぼれる。

樹は紗英が死んだと言った。

せめて大怪我であって欲しいと切に願うが、樹の言葉には重みがあった。

だが一体何故?