その手からナイフがこぼれ落ちる。

何が起こったのか理解出来ない大輔のもとに数人の警官が駆け付けた。

『大丈夫か?』

『あ、ああぁ…あぅ…』

訳が分からず声が出ない。警官達が大輔を引っ張って立たせようとしたが腰の骨が無くなってしまったように、まるで立つ事が出来なかった。

『こりゃひどい…』

後から来た警官も店内を見渡し顔をしかめる。

辺り一面に漂う血の臭い、無惨に切り殺された二人の死体と射殺された犯人が血の池に浸っている。

現職警官もこれほどの惨状を見た事が無かった。

間もなく通報を受けたパトカーと救急車が到着する。

サイレンの光が血に反射して眩しい。

担架に乗せられた大輔は、あまりの傷の痛みと安堵感から意識を失った。