その瞬間には目にナイフを突き立てられ、のけ反る。

悲鳴を上げる間もなく馬乗りにされた弓暢からナイフを引き抜かれ、今度は喉を切り裂かれる。

僅か数分の間に店内は阿鼻叫喚の世界に化した。

おびただしい程の血が辺り一面を染め残った客は我れ先に逃げ惑う。

しかし店を預かるフリーターの大輔は思わず弓暢の前に立ち塞がった。

『く、くるな人殺し!』

手には強盗対策に用意してある護身用の金属バットを持っている。

この時の大輔ですら弓暢を本気で殺す気にはなってなかった。

ただ何とかしてこの狂った男を止めたかっただけである。

及び腰でバットを振り回す大輔を簡単に避ける弓暢。

大輔の一撃がガラス壁を直撃し大きな音を立てた。

それを待っていたかのようにナイフが襲ってくる。