眼球が飛び出て、額は大きく割れ、鼻も潰れていた。

頬骨も陥没し、それに首の骨が折れていたような…そう言えば飛び出した眼球は何処に行ったのだろう…?

あの恐ろしい表情は目を閉じるとはっきり瞼に焼き付いている。

こうやって一人でベッドに入っていると今にもドアを開けて慶子が入ってきそうな気がして弓暢は震え上がった。

そうやって悶々としていると携帯が鳴ったのである。

弓暢が電話を取った瞬間、受話器の向こうから凄まじい悲鳴が聞こえてきた。

断末魔と呼ぶに相応しい哀しみに絶望が重なった悲鳴。

それが未音の物である事はすぐに分かった。

『未音!未音?どうした未音?』

そこで電話は切れた。

明らかにただ事では無かった。

精神が破壊され恐怖で命を落としかねない未音の悲鳴。

弓暢はそのままの姿で車に飛び乗った。