もう目も見えないし、呼吸も止まっている。

でも痛いとか苦しいとかは無かった。

ただ心は安らかだった。

紗英にとっての寿命は21年だった事になる。

思考はそれを知らずとも遺伝子には最初から全ての情報が組み込まれているのか…

紗英はただゆっくりと狭いエレベーターの中で自分の死を受け入れた。


(まさ…き君…ありがとう)


紗英の瞳から光が消えた。