康太に振り向いて欲しくて、その反動で何時も樹と一緒に居た。

でも自分でも気付かぬ内に樹の優しさが心地良くなってきている自分に紗英は気が付いた。

『また一緒に遊ぼうぜ』

『うん、今度は何処行く?私遊園地に行きたい』

『何処行くって聞きながら希望ありかよ』

樹も笑いながら返す。

ホテルのラウンジを出た時は夜の10時を過ぎていた。

『遅くなっちゃった。ごめんな』

『ううん楽しかった。一人暮らしだからこれぐらいはOK…また誘ってね』

笑いながら紗英は思い切って樹の腕に自分の腕を絡めた。

冗談っぽく迫ったつもりだったが樹はあまり免疫が無いらしく一瞬体が硬直する。

『何緊張してんのよ?光栄でしょ』