前から康太達にも『似合わないから切れ』と連呼されていたのだが、本人はお気に入りで、何時もサラサラと風になびかせていた。

だから待ち合わせの場所に樹が現れた時、最初は誰だか分からず驚いた。

髪を切った樹は驚くほど若返った。

お世辞抜きに高校生に見える。

何時も接している樹の違う一面を見て紗英の心は正直ときめいた。

『でもホント髪切って良くなったよ樹君』

『さっきから何度目だよ、そんなに似合わなかったかなぁ』

『うん、今から思えば変だった』

思わず本音を言ってしまう。

『ねぇ今日は誘ってくれて有難うね。楽しかったよ』

『俺も楽しかった。紗英ちゃんと一緒でドキドキしたよ』

『またぁ上手なんだから』

互いに目をそらせたが内心は鼓動が高鳴っていた。