縛りたいとか言い出すのは未だ可愛い方で、中には娘のセーラー服を持参して着てくれとか吐きそうに気持ち悪い男がたまにいる。

『あのですね、お客さん、一応サービス内容は決まってるんですけど…どういったのがお好みですか?』

やれやれと溜息をついた紗耶香の背後に男は風のように回り込んだ。

『お前を切ってみたい』

『えっ?』

すいません聞こえませんと言おうとした紗耶香は喉から笛のような音を出しながら驚いた顔で振り返った。

男の顔がみるみる真っ赤に染まる。

慌てて男に触れようとした紗耶香は、それが自分の喉から噴出した鮮血だと気付いた瞬間、男はサングラスを外した。