『誰よ高木って…』

必死に記憶をたどってみるが思い出せない。

昔のクラスメートに居たような居なかったような…。

エレベーターが到着して扉が開いても未音は思い出す事が出来なかった。

(高木ケンジ…だいたいカタカナ名前の男なんて知らないわよ)

思ってはみるものの、どうも引っ掛かる。

高木ケンジという男に心当たりはないが、何故か聞いた事のある名前のような気がして仕方がない。

この手紙も50通を越えている。

だから変な親近感を覚えてしまったのだろうか。

大部分は棄ててしまったが、それでも10通近くは手紙入れに一まとめに置いてある。

後でもう一度読んで自分なりに検証してみようと未音は思った。