一階フロアに設置された銀色の郵便受けを覗いた未音は何通かのDMと一緒に見覚えのある封筒を発見した。

『あら久しぶり』

思わず声に出してしまい苦笑する。

一ヶ月以上来てなかった例の差出人不明の封書がやってきたのだ。

エレベーターが到着するまでの間に中身を取り出してみる。



『久しぶりだな』



たった1行それだけだった。

さっき自分が声に出したのと同じ内容に吹き出してしまう。

『私と精神年齢近い人なのかな』

そのまま丸めてポケットに突っ込もうとした未音は封筒の裏に名前が書いてあるのを見て目を丸くした。


『高木ケンジ』



内容と同じ角張った汚い字である