そう言って康太は着ていた薄手のジャンパーを未音の肩にかけた。

『全然暖かくないんですけど』

『贅沢言うな!俺はもっと寒いぞ』

『ゴメンゴメン、有り難うね、とっても暖かい』

市街地に出れば春の陽気で暖かいが、川の上にある熊野大橋は突風が吹き荒れていて体感温度を著しく下げる。

未音にジャンパーを貸した為、長袖シャツ1枚になった康太は震えながらマウンテンバイクを押した。