卒業式を2ヶ月後に控えた1月のある寒い日に尚人は退学届を事務局に出した。
頭の禿げ上がった小太りの事務員は眼鏡の上から尚人をジロッと見ただけで、何かの書類に大きなゴム印を押し尚人に黙って渡す。
そして男が指差す場所に三文判を押す。
たったこれだけの作業で尚人の大学生という肩書は失われた。
これから退学しようとする若者に理由を聞く訳でもない。説得する訳でもない。あくまで事務的に一瞬にして手続きは終了した。
あまりの簡単さに拍子抜けした尚人だったが気を取り直してアパートに帰る。
その晩一泊だけしてからアパートを引き払い電車に飛び乗る予定だった。
確かにあの時は、これから未来が開ける若者のように尚人の気持ちは晴れ晴れと、そして高ぶってもいた筈だった。
あんな事さえなければ…
頭の禿げ上がった小太りの事務員は眼鏡の上から尚人をジロッと見ただけで、何かの書類に大きなゴム印を押し尚人に黙って渡す。
そして男が指差す場所に三文判を押す。
たったこれだけの作業で尚人の大学生という肩書は失われた。
これから退学しようとする若者に理由を聞く訳でもない。説得する訳でもない。あくまで事務的に一瞬にして手続きは終了した。
あまりの簡単さに拍子抜けした尚人だったが気を取り直してアパートに帰る。
その晩一泊だけしてからアパートを引き払い電車に飛び乗る予定だった。
確かにあの時は、これから未来が開ける若者のように尚人の気持ちは晴れ晴れと、そして高ぶってもいた筈だった。
あんな事さえなければ…


