こうやって尚人との関係が続いているのも彼女の気まぐれかもしれなかった。

知り合ってから校内で会うと必ず紗耶香は尚人を誘ってくれる。

そこから考えると自分の事を嫌ってはないと思うのだが、彼女の口から愛だの恋だのという言葉は決して語られなかった。

何故和歌山に帰るのか聞いても必ずはぐらかされる。

全てにおいて紗耶香は未知数だった。

彼女の事をもっと知りたい…という欲求は募るばかりであったが、尚人はそうする事で紗耶香を失う事の方が怖かった。

実際彼女が何故自分と関係を持っているのかさえ分からない。

尚人も紗耶香を愛しているかどうか自信が無いのである。

ただ麻薬のように尚人の生活には紗耶香がどうしても必要だった。