『本当だ、じゃあ樹君がお父さんで私がお母さん、康太君は近所の子供ね』

『家族じゃねえのかよ』

横で樹が思わず吹き出した。

『嫌よ康太君みたいな息子なんて。私は未音みたいな可愛い女の子が欲しいな。そしたら康太君、未音のお婿さんで家族にしてあげる』

こうやって寝転がっていると大学にいる事が嘘のようだ。

クラブの掛け声だろうか遠くで威勢の良い発声が聞こえる。

雲一つない春の空を眺めていると吸い込まれそうな気がして康太は思わず起き上がった。