私は、残りの3人と一緒に歩いていた。
と言っても、龍輝さんと朔也さんは私の4歩前を歩き、隣には大雅さん。
4人で帰ってるというか、大雅さんと帰ってるみたい。
「ねぇ真由ちゃん、今度二人で水族館にでも行かない?」
「へ?」
「だってさぁ、二人きりになれる時間あんまり無かったし?
だから、まだ“あの話”は有効かなーと思って」
あの話、って…私の気持ちをバラすとかバラさないとか、その話だよね…。
「…もう無効にしてもらいたいです…」
「あはは、そんなに嫌?」
「嫌と言うか…苦手、と言うか…」
「それって俺のことが苦手ってこと?
それとも、男と二人で会うのが苦手ってこと?」
うーん…両方?
よくわかんない…。
「えっと…大雅さんみたいな人と二人で会うのが、苦手なのかも」
「俺みたいな人?」
「んー…遊んでそうな人?」
大雅さんと居ると、やっぱり元カレを思い出しちゃうんだよね…。
大雅さんと元カレは違うってわかってるケド、雰囲気が似てるというか…。
「キミ、意外とハッキリ言う子だねぇ」
「え? あっ…ご、ごめんなさいっ…!」
うわ…。
遊んでそうな人、って本人に言っちゃった。
でも大雅さんはたいして気にする風でもなく、ただ笑って髪の毛をかき上げた。
「つまり真由ちゃんは、“俺”に昔の男を重ねちゃってるわけか」
「あ…まぁ…そう、かもしれません…」
「残念だなぁ。
その男が良い奴だったら、真由ちゃんはそいつに似てる“俺”に惚れたかもしれないのにね」
「あはは…」
…大雅さんらしい発想だなぁ。
……でも確かに、元カレが良い人のままで別れていたら…、
そうしたら私は、大雅さんを今とは違う目で見ていたかもしれない。
…龍輝さんに対する気持ちも、違っていたかもしれない。