「…たつき、さん…」
予期してなかったその姿に心臓が ドキリ となる。
「あそこに居ろ。って言ったよな?」
小さく言いながら隣に来て壁に寄りかかる。
そして、ふーっと長く息を吐いた。
「やっぱり、俺と一緒は嫌か?」
「あっ…ち、違うんですっ…!!」
…龍輝さんが嫌なんじゃなくて、龍輝さんが他の子と喋ってるのを見てるのが嫌だった。
でも、そんなこと言えない…。
「……ごめんなさい、ちょっと外に出たくなったんです」
「…ふぅん」
怒ったような、呆れたような顔の龍輝さん。
そのままポケットに手を突っ込んで…、
え? タバコ!?
「た、龍輝さん!? それってタバコですよね!?」
「んー? あぁごめん煙とか嫌だった?」
「そ、そうじゃなくてっ…未成年者が吸っちゃ駄目でしょう!?
それに、こんなに人が居るところで…!!」
「別に誰も見てねぇって」
そんなわけないじゃんっ…。
龍輝さんは居るだけで目立つ人なのにっ…!!
「と、とにかく!! タバコなんて駄目ですよっ!!」
「あーわかったわかった、すぐ消すよ」
地面にタバコを押し付け、龍輝さんは笑う。
「なんかお前、母親みたいだな」
「そ、そうですか…?」
「うん」
龍輝さんはそのまま、にっこり笑って言葉を続けた。
「まぁ、母親のことなんかもう忘れちまったから、よくわかんねーけどな」



