直後、
ブッと吹き出したのは大雅さん。
「何それ、龍輝この子の名前聞いてなかったの?
俺がみんなを中庭に呼び出した時間、何してたんだよ」
「しょーがねぇじゃん忘れてたんだから」
「普通忘れる? て言うか俺が気ぃ利かせた意味ないじゃん」
あ…。
今朝の大雅さんの行動は、私と笠井さんが二人で話せるように…。
………。
…見た目はアレだけど、結構イイ人なのかも。
「名前を知らないまま、よく今まで一緒に居たね?」
「あぁもう、うるせーなぁ。
忘れてたもんは忘れてたんだよ」
あははっと楽しそうに笑う大雅さん。
それを見ながら笠井さんも笑い、二人でじゃれ合いを始める。
(…カッコイイなぁ…)
笠井さんはもちろん、その隣に居る大雅さんも凄く素敵だ。
……季節は春で、空から降り注ぐ光りはまだ柔らかいけれど、
目の前の二人の笑顔は夏の太陽のように眩しくて、私にはこれ以上近づけそうにない。
…同じ空間に居ても、こんなにも距離を感じてしまうんだ。
これが「四聖獣」と、ただの地味女の違い…。



