…うそ…?
「彼女なんか居ない」
「…ほんと、に?」
「あぁ」
………。
…嘘、だったんだ。
優ちゃんは笠井さんの彼女じゃないんだ。
でも、じゃあ優ちゃんとの関係は、何…?
「アレは幼馴染みっつーか、昔からよく知ってる顔なんだよ。
年下のくせにいつも突っ掛かってくる厄介な女」
幼馴染み…。
笠井さんと優ちゃんは、幼馴染み。
あ。
だから優ちゃん、「四聖獣」を見る時の目がみんなと違ったのかな?
キャーキャー言うみんなと違って、呆れた顔をしてたのはそれが理由なのかもしれない。
「…そっかぁ…彼女じゃないんだ…」
優ちゃんは私を騙してなんかいない。
よかった…本当によかった。
それに…、笠井さんに彼女が居ないってことがわかって嬉しい。
「…よかったぁ」
私が彼女になれる可能性はゼロなんだろうケド、笠井さんと女の人が並んで歩く姿を見なくて済む。
それが、凄く凄く嬉しい。
「なぁにニヤニヤ笑ってんだよ?」
「べ、別にニヤニヤなんてしてませんよっ…」
「そっかぁ? 気持ち悪いくらいニヤけてるけどな」
「き、気持ち悪いって失礼じゃないですかっ…!?」
「だってほんとのことだし?」
けらけらと楽しそうに笑う笠井さん。
うぅ…私、そんなにニヤけてたかな…。
つまり、顔に出やすいってことだよね…。
優ちゃんにも似たようなこと言われたし…気を付けよう…。
「ところでお前、もうとっくにチャイム鳴ったけど、戻んなくていいの?」
「へっ?」
………。
ええぇぇー!!?



