…って!! なに言ってんの私っ…!!
自分のことを「可愛い」なんて、馬鹿じゃないの!?
しかもそれを笠井さんに訊ねるなんて…!!
「まぁ、可愛いんじゃねーの」
…え!?
「あ、あの…今、なんて…?」
「だから。 今のお前、すげー可愛いと思うよ?」
「…っ……」
可愛い、って…、笠井さんが私を見て「可愛い」って言ってくれた…。
……これって、夢? まぼろし?
それとも私の妄想?
「でも、優ちゃんが二人になった感じで嫌だな」
「え…?」
「アイツとおんなじメイク。
だからアイツが増えた感じで妙な気分」
あ…。
確かにこのメイクの感じ、優ちゃんそのままだ。
そっ…か。
今の私は、優ちゃんに似たメイクだから……。
「…あは。ほんと、優ちゃんに似てますね」
……笠井さんの言葉は「私」に対しての可愛いじゃなくて、あくまで「メイク」に対しての可愛いだったんだ。
そっかそっか。
そうだよね。
先輩が私のことを可愛いって言うはずないもん。
優ちゃんにメイクしてもらって、優ちゃんにはほんの少し近づけたかもしれないけれど。
だけど私は、笠井さんには近づけていないんだ…。
「………」
…あれ?
…そういえば笠井さんって、なんで優ちゃんの名前を知ってるんだろう?



