「聖域にズカズカ踏み込んでさ、私たちが守ってきたもの全部ぶち壊して。

全部あんたらのせいだよ。
あんたたちが来なきゃこんなことにはならなかったのに」

「…っ……」


優しかった顔があっという間に変化する。

氷のように冷たい瞳と、それ以上に冷たい舌打ちが聞こえてきた。




「…あんたたちが来たから四聖獣は壊れちゃったんだよ。
朔也くんと大雅くんが居ないのってさぁ、あんたらのせいだよね?」


ズキン


…ずっと気にしていた二人の名前に、体が確かに反応した。

それを見た彼女の表情はますます怒りに満ちたものとなり、声も冷たくなる。




「…あんたたちさ、あんなに仲の良かった4人を壊しといてよく普通の顔で居られるね。

て言うかあんた、龍輝くんの彼女にでもなったつもり?
健吾くんとあの子が一緒に居るのをいいことに、龍輝くんに近づいてへらへら笑って。

そういうの、マジキモいから。 龍輝くんに寄んないでよ。
あんたみたいなブッサイクな女、龍輝くんの隣に居る資格なんてないし」

「…っ……」


「だからもう龍輝くんに近づかないで。
これ以上四聖獣を壊さないでよ」


そう言い切った先輩は、フンッと勝ち誇ったような顔で歩いていった。




“あんなに仲の良かった4人を壊しといてよく普通の顔で居られるね。”


“て言うかあんた、龍輝くんの彼女にでもなったつもり?”


“あんたみたいなブッサイクな女、龍輝くんの隣に居る資格なんてないし。”




「………」


…私がずっと気にしていたことを、あの人は全部言った。

朔也さんや大雅さんのこと…、詳しいことは知らないはずだけど、でもあの人の言ったことは当たってる。


…私が、みんなの距離を壊した…。




…そして、もっともっと言われたくなかったこと…。


“あんたみたいなブッサイクな女、龍輝くんの隣に居る資格なんてないし。”




…私は、龍輝さんのそばに居る資格なんてない…。