……。


朔也さんと二人で来たのは、いつもの「四聖獣」の場所…、体育館裏。


今は龍輝さんも大雅さんも健吾さんも居なくて、私と朔也さんだけ…。




「で、どうしたの?」


定位置に座る朔也さん。
その隣にちょこんと座って地面を見つめる。




「…私が、キスを拒んだからだと思います…」

「…キス? 龍輝に無理矢理されそうになったの?」


「えっと…、無理矢理って言うか…そういう雰囲気、だったとは思うんですけど…。
…私、ちょっと怖くて、不安で…それで躊躇って…。
そんな私に、龍輝さんは“冷めた”って…」

「…なるほど」


小さく返事をした朔也さんは、そのあと押し黙ってしまう。

…沈黙が苦しい。




「…あの、私…前の彼とキスしたことがあって…。
それを知った龍輝さんは、“前の男はよくて俺はダメなんだ?”って言って…。
その後に私、不安とかがあったことを話そうと思ったんですけど、結局話せなくて…、そのまま帰宅してしまったんです」


…沈黙が苦しくて、聞かれてもいないことを話す。

そうすると朔也さんは、「あー…」と、僅かに声を漏らした。




「多分アイツ、真由の元カレに嫉妬してんのかも」

「え?」


元カレに、嫉妬…?