うわぁ、全然気付かなかった…。


「…朔也さんて、実は忍者?」

「…朝から何言ってんだよ。
それよりも。 龍輝となんかあったの?」

「あ…えっと…、はい、少しだけ…」


…“少し”で収まりきってないような気がするけど、でも詳しくは話せないような内容だもんね…。




「…アイツ、昨日かなり荒れてた。
タバコ辞めるって言ったくせにまた吸ってたし、理由聞いても“知るか!”ってキレるし」

「え…」

「土曜日、二人になってから何かあった?
俺たちに言えないようなこと?」

「………」


…どうしよう…。

私が龍輝さんのキスを拒んだから…、それに、連絡も何もしなかったから…、だから龍輝さんは荒れてしまった…。

私の、せい…。




「…あのさ、比べるのはよくないと思うけど、でも聞いて?
昨日のアイツ、先輩と別れた時以上の荒れようだったと思う」

「…っ……」


「真由とアイツ、別れたわけじゃないんだよね? それなら何が理由?
俺、話を聞くことくらいしか出来ないけど…、でも話せば何か変わるかもしれないだろ?
だから、俺に話して欲しい」


…朔也さんに、土曜日のことを…。


「………」


…龍輝さん、前の彼女と別れた時以上に荒れていたんだ…。
私はそんなにまで龍輝さんを…。






「…あ、の…二人で話せる場所に、行きませんか…?」

「うん」

「…迷惑かけて、すみません…」

「いいよ、平気」


…次々登校してくる生徒たちを横目に、朔也さんと一緒に歩き出す。