ここって…、2年くらい前に出来たばかりのマンションだよね…。

駅が近くにある良い立地だから凄く高い。ってお父さんたちが話してたのを聞いたような気がする。




「…龍輝さんの家って、お金持ち…?」


…と、つい言ってしまった。


「あー…うん、そうだと思うけど、よくわかんね」

「わかんない、って…自分の家のことなのに…?」


「うん、複雑だからね」


……やっぱりよくわからない。
複雑って、どういうこと??

龍輝さんに聞きたいけど、でもあんまり言いたくなさそうだから…、だからこれ以上は聞かないことにした。




……。




龍輝さんに導かれるまま、中へと進んでいく。


「入って」

「あ…、お邪魔します…」


ここが、龍輝さんの住んでる部屋…。




部屋にはあまり物が置かれていなくて、広い部屋が余計広く感じる。

テーブルの周りに置かれたコンビニのお弁当の空箱やカップ麺の容器、まとめて置いてある空のペットボトルなんかが唯一の生活感。




「着替えてくるから、テキトーに座っといて」

「あっ…はい…」


…龍輝さんと私以外、誰も居ない部屋…。

少しの音が大きく響いて、そのたびに体が反応してしまう。


「………」


…龍輝さん、いつもコンビニのお弁当食べてるんだ。
それに、カップ麺…。


「…体、壊しちゃうよ」


初めて見る龍輝さんの生活ぶりに、胸がギュッと苦しくなる。




「…私、やっぱり龍輝さんのこと何も知らないな…」


その事実が、苦しくて辛い…。