その瞬間、ケバい女子集団はそれぞれ甘ったるい声で4人を囲んだ。
…優ちゃんに掴みかかった人も。
「ねぇ龍輝くん、昨日あの左の子と一緒に居たよね?
あの子って龍輝くんの何?彼女さん?」
「…は?」
「今ね、あの子に直接聞こうとしてたんだけどぉ、なかなか教えてくれなくて!」
……すべてを見ていた人たちは、みんな「うわぁ…」と彼女たちを軽蔑する目。
それに対する「四聖獣」の反応は、様々だった。
大雅さんは面倒くさそうに頭を掻き、朔也さんは呆れ顔。
健吾さんは困ったように優ちゃんを見て、龍輝さんは頭に はてなマーク をいっぱい浮かべながら首を傾げた。
「ねぇ、教えて?」
相変わらずの甘ったるい声。
…それに応えたのは、面倒臭そうな顔の大雅さんだった。
「…先輩たち、ほんっと面倒臭いよね」
いつもニコニコ笑ってる大雅さんからの予期せぬ強烈な一言に、ケバい女子集団の動きが止まる。
「あの子たちは俺らの友達。
休みの日に友達と出掛けんのって普通でしょ?」
「あ…うん。そう、だよね…」
「ならもういいでしょ?
授業始まっちゃうから早く教室戻りなよ、先輩」
「そ、そうだよねっ…ごめんっ…」
…大雅さんの言葉に顔を引きつらせながら、女の人たちはそそくさと消えていった。
……なんか今日の大雅さん、機嫌悪いみたい…。
女の人たちが行った今も、その顔に笑顔は無い。
「…大雅さん? どうか、しました?」
「別に? それより二人も早く行けば?
授業遅れちゃうよ?」
「あ…はい」
…授業開始が迫っていたから、私たちはろくに話もせずに別れた。
でも大雅さんの表情が気になって、全然授業に集中出来なくて、ただただ時間だけが過ぎていった。
授業が終わったあと、「大雅さんのとこに行こっか」と声をかけてきた優ちゃんも、私と同じだったみたい。
ちょうどお昼休み。
きっと大雅さんたちは体育館裏だ。
そう思ったから、私たちはお弁当を持って体育館裏へと向かった。