「ふーん。珍しい。」 彩乃はそんな私を見て特に気にしたような様子もなく、再び歩き出した。 私は未だにグランドから飛んでくる冷やかしが耳に入らないように、精神統一しながら俯いて彩乃の背中を追った。 「市川さーん。」 「無視しないでよ〜。」 「愛理ちゃーん。」 ……下の名前で呼ばないでよ! そう呟き顔を歪ませる私に、彩乃な小さく肩をすくめた。