「あの人、なんかおかしくない?」 「あの人って、コーチ?」 「…うん」 風に吹かれて清々しい顔をしていた杏は あたしを怪訝そうな顔でみてきた。 「何でそう思うの?」 「だって、あの人……ッ」 あの人にされたこと、 言おうかと思った。 けど… あんなに可愛くて、キラキラしてた 杏の顔を崩すのは…… なんだか、怖くて辛い…。 「だから!何かおかしかった、あの人」 信じてくれないと思うけど、 言いたくないけど 言わなきゃいけない葛藤。