「お願い、行かないで」 怖いの、あの目が。 あのニヤって笑った口が。 顔が。 だから、今すぐ 陸の顔で、笑顔で、 上書きして…。 「ぎゅって、して…」 陸はあたしのもとに来て、 ふわって、抱きしめてくれた。 陸の匂いに、 優しく抱きしめてくれるその腕に、 涙が溢れた。 あたしの涙は 陸の服にじわりとシミを作った。