あたしは自分の手の平をぎゅっと握った。 苦しい。 胸のもっと奥がズキズキする…。 「…陽菜、こっち向いて」 「…ぇ?」 朝の早い住宅街の道のど真ん中。 ぎゅっと握った方の腕を引っ張られて あたしと陸は向かい合わせになった。 「陸?」 「おかしかったけど …嬉しくないとは言ってねぇだろ」 「…り…っ」 「あからさまに悲しそうな顔すんな」 なにそれ…? 嬉しくないとは言ってねぇだろって 反則だってば…。 ズキズキしていた胸は いつの間にかギューッと 締め付けられていた。