「で、太一は姉ちゃんが連れてきたの?」
「うん」
「いつの間にどういう関係になったの、二人は」
「家庭教師になってもらってる」
「マジで!? 太一、姉ちゃんより有能な奴なんていくらでもいるぞ」
「失礼だな、あんた」
「俺もそう思うけど、数学だけだから。悪くないよ、お前の姉ちゃん」
おい、太一もところどころ失礼だぞ。
「まあ、数学だけが取り柄みたいなもんだからなあ」
「弘樹、そろそろ殴るよ」
「うわっ、暴力反対」
「喧嘩するくせに」
「俺らは平和主義者なの。自己防衛です」
「じゃあ俺、そろそろ帰るわ」
あたしの手から参考書を抜き取って、太一は「またな」とあたし達姉弟に手を振る。
「弘樹」
「ん?」
弘樹の耳に口を寄せて太一が囁く。
「お前と姉ちゃん、顔そっくりだな」
にやりと笑って、太一は背を向けて歩き出す。
おい、太一、駄々漏れだから。小声でも聞こえたから。
「うん」
「いつの間にどういう関係になったの、二人は」
「家庭教師になってもらってる」
「マジで!? 太一、姉ちゃんより有能な奴なんていくらでもいるぞ」
「失礼だな、あんた」
「俺もそう思うけど、数学だけだから。悪くないよ、お前の姉ちゃん」
おい、太一もところどころ失礼だぞ。
「まあ、数学だけが取り柄みたいなもんだからなあ」
「弘樹、そろそろ殴るよ」
「うわっ、暴力反対」
「喧嘩するくせに」
「俺らは平和主義者なの。自己防衛です」
「じゃあ俺、そろそろ帰るわ」
あたしの手から参考書を抜き取って、太一は「またな」とあたし達姉弟に手を振る。
「弘樹」
「ん?」
弘樹の耳に口を寄せて太一が囁く。
「お前と姉ちゃん、顔そっくりだな」
にやりと笑って、太一は背を向けて歩き出す。
おい、太一、駄々漏れだから。小声でも聞こえたから。

