「あんた……自覚してるのか?」


 はあ?

 その言い方だと、私はブスだって事?


「冗談じゃないわよ。私のどこがブスだって言うのよ!?」


「なんだ、自覚してねえのか……」


「あなた、よほど目が悪いのね? よく見なさいよ、私の顔を!」


 そう叫んで私は中野和也の顔に自分の顔を近づけた。鼻と鼻がくっつくぐらいに。ところが、


「やめろよ」


 中野和也はそう言って私を押し退けると、


「くだらない言い合いは時間の無駄だから。じゃあな」


 と言って再び私に背を向け、歩き出した。
 私はその背中に向かい、悔し紛れにこう言っていた。


「高木千尋が美人に見えるなんて、頭がおかしいんじゃないの?」


 と。