あれ? 和也は、私の声を聞き取れなかったのかな?


 確かに私はあまり大きな声を出さなかった。夜だから。


 もう一度言おうかなと思っていたら、ようやく、


「おお、そうだな」


 と、予想通りの言葉が返って来た。


 なんだ、聞こえてたんじゃん。だったら今の“間”は、何だったんだろう。


 そんな疑問が一瞬だけ浮かんだけど、


「気をつけてね!」


 と言って手を振った時には、考えるのをやめていた。



 その和也の一瞬の“間”が、後日私が迎える大ピンチを暗示してたなんて、その時の私は知る由もなかった。


(『後日談 大塚家訪問の巻』おしまい)

 最後までのお付き合い、ありがとうございました。
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2012.5.11 秋風月