「彩花のお袋さんって、若くて綺麗な人だな?」


 和也は、私の部屋に入るなりそう言った。


 今日は和也を初めて我が家に招待した。晴れて和也とカレカノになり、それを両親に話したところ、すぐに彼を家に招けという事になったのだ。母はもちろんの事、父もその事に積極的だった。

 そう言えば父は、初めて私が和也の話をした時、『中野君に会ってみたい』と言っていたっけ。なぜかは解らないけど。


「そう? それを聞いたら喜ぶわよ、あの人。例えお世辞でも」


「いや、お世辞じゃなくて、マジにさ。彩花ってお袋さん似なんだな?」


「うん、そうみたい」


 私は部屋のドアをパタンと閉めてから、鍵を掛けようかどうしようか迷った。