ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜

 しばらく泣き、ようやく涙も治まり、グショグショに濡れた目や頬を手の甲で拭っていたら、


「ほら、これを使えよ」


 どこかで聞いたような言葉と声がして、私はガバッと顔を上げた。


 目の前にはチェック柄の男物のハンカチが差し出されていて、その手をたどって見上げると、目が霞んでいて表情まではよく判らないけど、間違いなく中野君の顔があった。


 こういうのを“デジャヴュ”というのかなあ。あるいは、幻覚?


 いずれにしても現実とは思えず、ボーッと中野君の顔を眺めていた。消えちゃう前に。


「どうした?」


「あ、幻覚が喋った……」


「泣きすぎて、頭が変になったのか?」


 今度はそういう幻聴が聞こえ、私の頭に手が乗った感触がした。


 幻触?


 いやいや、そんな言葉はないっしょ。じゃあ……


「本物!?」