今更ジタバタしても始まらないけど、

「ちいちゃん、大丈夫かなあ……」


「何が?」


「何が、じゃないでしょ? 密室に修平と二人きりなんだよ? もし修平に襲われたらどうする気?」


「大丈夫さ。修平はチャラそうに見えるけど、そんな事する奴じゃない。たぶんね」


「たぶんって、あんたね……」


「ほら、見てみろよ。いい眺めだぜ」


「え、うん……」


 ゴンドラはゆっくりと上がって行き、下の家やら道路やらがうんと小さく見える。


 その景色もさることながら、私は下を見る中野君の横顔に見入ってしまった。