「ああ、もう……」


「どうした?」


「どうしたじゃないわよ。いいの? 私と乗っちゃって……」


「別にいいんじゃないか?」


「これ、観覧車だよ? 観覧車がどういうものか、あんた知ってるの?」


「知ってるよ。ゴンドラが縦にグルッと一周する乗り物だろ?」


「そうじゃなくて……」


 中野君は知らないんだわ。観覧車と言えば、男女のスイートスポットじゃないの……


 4人乗りのゴンドラでも、係員さんも心得ていて、頼めば二人だけで乗せてくれるという……あれ?

 私は二人で乗せてくれって、頼んでないよね? もちろん。

 という事は、中野君が?


 そう言えば中野君はちゃっかり私の隣に座ってるし、わかってるんじゃん。