「えー、修平君も彩花のファンなの?」


 恵美がすかさず鼻を鳴らすように言った。恵美って、もしかして小山修平を狙ってるのかな。


「実はそうなんだ。ついに同じクラスになったし、彩花ちゃんには今は彼氏いないらしいし、やっと俺にもチャンス到来かな、なんて……」


 小山修平はそう言ってはにかむように笑ったが、同時に自信のようなものも窺えた。


「だってさ。彩花、どうする?」


 恵美に聞かれ、“べつに……”と言いそうになったけど、それでは感じが悪いから、


「人気者の小山君から、そう言われたら嬉しいけど……」


 と言葉を濁した。


「え? それって……」


 小山修平に真剣な目で見られ、私はその視線から逃げるように恵美に目配せをした。