ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜

 中野君は私の玉子焼きをパクっと口に入れ、モグモグしてから「美味い」って言ってくれた。


「ほんとに?」


「ああ。なんか、懐かしい味がするよ」


 そう言って中野君はニッコリし、私の心臓がドキンと大きく跳ねた。


「そ、そう言えば中野君っていつもパン買ってるよね? お母さんは作ってくれないの?」


 私は言ってしまってから、まずかったかなあと思った。人にはそれぞれ家庭の事情があるわけで、それに他人が安易に踏み込んでいいわけがない。


 中野君、怒っちゃうかなと思ったけど、


「ああ、それはね……」


 怒ってないみたいだ。よかった……


「俺んちは植木屋だから、おやじもおふくろも朝早くから働いてるんだよ。だから弁当を作れなんて、言えなくてさ……」


 ああ、そうだった。中野君の家、ちいちゃんのお母さんの勤め先でもあるけどは、大きな園芸ショップだったんだ。


 “だったら、中野君のお弁当も作ってあげる!”思わずそう言いそうになり、それを思い留まった。まだそんな腕前じゃないし、中野君の彼女でもないのに、おかしいもんね……