おかしいわねえ。

 小山君は休みじゃなかったし、私が教室を出た時はいなかったから、絶対ここに来てると思ったんだけどなあ。


 お腹を壊してトイレにでも行ってるのかしら。そんな事を思いながら辺りを見回したら、いた。


 桜の樹の下に、小山君はいた。でも、一人ではなかった。


 小山君は一人の女子と向かい合って立っていた。その女子とは、見紛う事なく恵美だった。背の高い小山君を、背伸びするように見上げながら、めいっぱいぶりっ子して盛んに口を動かす恵美。そして時折頭に手をやり、爽やかな笑顔でそれに応じる小山君。


 典型的な告白の風景だ。