「ねえねえ、お母さん」


「なあに?」


「友達にあげるプレゼントを買いたいんだけど、私の貯金を下ろしてもいいかな?」


「あら、今度は勝手に下ろさないのね?」


 それは前回、母に黙って貯金を下ろし、眼鏡を買った事への皮肉に違いなかった。


「あの時はごめんなさい」


「いいのよ。彩花の貯金なんだから、彩花の自由にしていいわよ」


「よかった……」


「で、誰に何をプレゼントするの?」


 ドキッ。それを聞かれると困るのよね……


「それはちょっと……、秘密というか……」


「あら、そう。まあいいわ」


「ごめんなさい」


 意外にあっさり母は引き下がってくれ、私は内心ホッとした。

 普通は人にプレゼントするようなモノじゃないので、母には言いにくかった。反対される可能性も高いし。