ブスになりたい女 〜高飛車美少女 VS 秀才クール男子〜

「こんなものを掛けて視界が悪いから、転びそうになるんだろ?」


 中野君は、さっきまでとは一転して穏やかに、低い声でそう言った。私を諭すかのように。


「それは……」


 中野君に見惚れていたから、とは言えるはずもなく、私は口ごもってしまった。


「わかってくれたようだな?」


「わからない……」


「なにーっ?」


「それを掛けないと、ちいちゃんみたいになれないんだもん!」



 一瞬の沈黙の後、


「おまえさ……」


 と中野君は言った。さも呆れた、って感じで。


 あ。今まで中野君は私の事を“あんた”って呼んでたのに、“おまえ”って呼んだ……


 それは果たして昇格なのか降格なのか、どっちなんだろうか……