「だね……。このクラスって、見た事もない子ばっかだよね?」


「ほんと。同じ学年のはずだけど、あたしらとは人種が違うって感じだよね?」


「人種? それはちょっと大げさじゃない?」


 と言ったものの、恵美が言うのもわかる気がする。このクラスの子は男子も女子もみんな地味で野暮ったくて、私や恵美は今まで完全に無視して来た部類の子達ばかりだもの。


「ま、それは大げさとしても、よくもまあダサい男とブスな女がこうも揃ったものよね? 特にその女なんかさ……」


「ちょ、恵美、聞こえたらどうすんのよ?」


 恵美ったら、ほとんど普通の声でそんな事を言うから私は慌ててしまった。ざわついていて周りには聞こえなかったみたいだけど、恵美が言った“特にその女”には聞こえたんじゃないかと思う。だって、その子は私達のすぐ前の席で、誰かとおしゃべりするでもなく、背中を丸めていたから。