自分でもどうしてこんな質問をしたのか分からなかった。 お父さんは数秒間無言で考え込んで、 「いいや、覚えてないな。」 結局はそんな答えを返した。 「………そう。」 心に少し残る蟠(わだかま)り。 でもその正体なんか知るわけもないから、私はお父さんの答えで自分自身を納得させることにした。 ―――なんだろう。なんだか…、 ―――何か大切なことを忘れているみたいな、変な感じ……。