中央図書館はこの町で一番大きな図書館だ。
地下2階から地上5階まであって、真ん中は1階まで吹き抜け。

小学校の図書室には絶対置いてないだろう本も、ここなら豊富に揃ってる。



宗教学や倫理学なんかの本が並ぶ棚を見ても私にはちんぷんかんぷんだけど、今回使うのはここじゃない。

更に奥の部屋を目指して行くと、開放的な大きな窓の前にずらりと並べられたパソコンたちが、私たちを迎えてくれた。

データ資料・PCルーム。
そんなちょっとカッコイイ名前が、私の密かなお気に入りだったりする。



「プリントアウトはお金かかるからねっ。豊花、ノートと鉛筆持ってきた?」

「バッチリ!」


一番日当たりの良い席をふたつ取って、私たちはさっそくグループ研究を始めた。

題して“町内怪奇事件特集”。


夏休みの研究テーマとしては、ボランティアよりずっと粋だと思い始めてきた自分がいる。