「…――朱里に、伝えたいことがあるんだ……」


私を抱き止めた颯太が、優しく耳元にキスを落とす。


そっと、囁く声が響く。


私の目から、涙が溢れる。

声が……出ない……

息することも……忘れてしまう……


それくらい……

嬉しかった…………



抱き締められた腕の中から颯太を見上げると、少し赤い顔をした颯太と目が合った。

左頬にできたえくぼ。

吸い込まれそうなほど綺麗な茶色い瞳。


「…どう?」


いたずらっぽく笑う笑顔。


……この笑顔が、好き……


「……喜んで」


私も、やっと笑うことができた。






颯太が耳元で言ってくれたこと。

それは……


「幸せになりましょう」


だった。