「朱里、こっちおいで?」

そう言って颯太が手招きをする。


――あれ?ここって……


「観覧車?」

何で観覧車?確か家で寝ててたはず……?

「――?何言ってるの?今日は遊園地で遊ぶって言い出したの、朱里だよ?」

そう言って笑う颯太は、いつもと変わらない。

夢……だよね?




「ほらっ。おいで?」


そう言って差し出された手は温かい。


もういいや。夢でも……


差し出された手を掴むと


「きゃっ!」


思いきり抱き寄せられた。


颯太の胸、ドキドキしてる……

きっと私のドキドキも聞こえてるよね……


どどどどうしよう?

こ、この展開はきっと……



「朱里……」



ほら、キター!





そっと私の顎を持ち上げる颯太。

その瞳には私しか映ってなくて……


「朱里……愛してる……」


「私も……」



そっと目を閉じると


「わんっ!」



………?

今、「わんっ!」って聞こえましたが……?


何で観覧車でゴン太の声?



ペロッ



……?

何で初キスが“ペロッ”って舐められてるの?



そっと目を開けると……




「――!ゴン太!」